刊行によせてごあいさつ目次本文(随時追加)本書『浪漫』の購入をお考えの方へお問合せ・ご意見 最終更新日:2006年4月20日

 

佐々木氏作品集『浪漫』の表紙
今回の作業のため、氏が、平成7年に開業四十周年を記念して改装した西町の「やすギャラリー&アトリエ」を訪れて、氏の健闘振りを拝見した。

100 号を超える大作から中位の大きさの画や小品に至るまで、数え切れない量の画がアトリエを占領している。私も幼少の頃から画が好きで、「絵画の道」を少し覗いたことがあるが、線を引くこと、デッサン、色彩、色調、影の部分、有名画家の作品の「学習摸写」、氏の「オリジナルな作品」の制作と、その道程は、気が遠くなるほどの努力の積み重ねである。「ルーブル美術館」などの西洋の著名な美術館では、大勢の人達が、「学習模写」に専念している写真が出ている。
佐々木安弘さん(ご自分のアトリエにて)


とはいえ、失礼ではあるが、一般に、「脳梗塞」罹病者の再起の道は険しいものとされている。100号の画などは、それ自体の重量もかなりのものである。まして、画面一杯に、油を塗り重ねて、有名画家の「原画」に劣らないものに仕上げようという営みは、健常な者にとっても並み大抵のことではない。しかも、氏の千枚に及ぶ大量の作品群、日々の努力を目の当たりにして、氏の精進に対して深く感銘した。「よくやったな・・・。」というのが精一杯であった。

私は、青春時代に、ゲーテやシュトルム、トーマス・マンなどに心を奪われ、特にヘッセが気に入って、「知と愛」をレクラム版の亀甲文字で、字引を頼りに、耽読した。おぼろげながら、「若き師、ナルチス」と「美少年、ゴルトムント」が反撥し合いながら引き合う2人の姿、老境に入った2人が、ふと出会い、お互いの人生についての共鳴点を語り合う一刻。当時は、「人生とは?」と思いながら読んだように記憶しているが、今、我々2人の間の交感に相通じるものがあるように思えてならない。

氏のエスプリの効いた名文に酔い痴れ、氏と共に過ごした若き日々を思い浮かべながら、氏の原稿を判読しつつ、パソコンへの入力の作業をしていて、氏の格別の記憶力のよさと純粋な精神に触発され、氏が「学習模写」に取り上げている画家のプロフィールや画業、社会的背景、展示美術館等を調べるために、久方ぶりに書斎に行き、絵画 や陶芸などの美術書や辞典と相まみえることとなった。日頃、無気力な気分で、すっかり遠ざかっていた書庫の書籍が猛スピードで私に迫り、歓迎してくれて、書斎は、見る間に、絵画関係の書物などで一杯になった。

最近、氏は、私の顔をつくづくと眺めて、「いい顔になってきた。」と画伯らしいことを言ってくれている。有り難いことである。氏との対話は、過ぎ去った過去をタイムスリップし、まるで中学生時代に帰ったような闊達な、腹蔵なき会話の連続であり、正に「以心伝心」、字の如き相互の反応で実に楽しい。

氏の素晴らしい精進、卓越した画才と懸命な努力に大いに触発されて、非力ながらに、少しでも読みやすい仮称「作品集」を作りたいと、只管、念じると共に、兎角、「寂しい老後の日々」を虚しく送ることとなりがちな我々年代にとって、改めて、「いかに生きるべきか?」を熟考させられる良い機会であった。

氏の個展の鑑賞が、氏の画才を愛でるのみではなく、「人生とは楽しいものですね!!。」と、「シルバー」が共に語りあい、歌い上げる動機となることを願っている。

兎角、憂鬱になりがちな「シルバー」として、氏の云う「自分を見本として」、苦難を乗り越え、心楽しく輝く希望に邁進する「素晴らしい人生の展開」を期待したいと思う。

このリバイバルの発想に私を導いてくれた氏に対して、満腔の謝意を捧げたい。

「見事な数々の作品」と「シルバーに対する活力の賛歌」として、この展覧会は、是非とも、「シルバー」をはじめ、多くの人に鑑賞して頂きたいと念じている。

御来会の皆様、氏を支えて下さっているE・S・P関係の皆様の御多幸と、氏と御家族の御健勝、氏の更なる御発展、御精進を祈るや、切である。
平成17年10月吉日 藤井俊彦 拝
 
 
 

<<<戻る