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記事掲載者:成田 滋先生

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落語の与太さん

39266 rakugo800 jpgどこの国に行っても人を笑いに誘う職業があります。アメリカでは、トークショーがあります。世相を皮肉ったり、政治家をネタにしたゴシップまがいのジョークで人を笑わせます。日本では漫才がそれにあたるようです。ボケと突っ込みで社会を揶揄(やゆ)したり風刺するのです。

  落語は外国にはありませんね。落語には人情噺(ばなし)、怪談噺、落とし噺があります。古典と創作落語にも分類されます。落語ブームは終わったかのようですが、、今でも根強く落語は日本の文化として生活に根付いています。

  落語には舞台と登場人物が必要です。舞台の典型は長屋です。わたしも長屋に住んだときがあります。そこは「鉄道官舎」と呼ばれていたのですが、なんのことはない長屋でした。普段は口論のかん高い声、暮れになると餅つきの音が響き、汲み取りの匂いが漂うところです。落語では大家(おおや)と店子(たなこ)が登場して、その掛け合いが笑いのネタとなります。店賃(たなちん)を5年間もためている店子がいたり、夢の話を聞こうして店子から拒否され、それを奉行所に訴える大家など、長屋の暮らしが可笑しく語られます。

 長屋には別の人が登場します。盗人(ぬすと)、貧乏人、商売人、そして少しおかしい人などです。落語では「与太郎」が有名です。別名、与太です。彼は今でいえば障害者です。しばしばからかわれて笑いの対象になったりします。ですが与太は決して長屋というコミュニティからはじき飛ばされることはありません。彼の一途さや正直さが長屋の人々から愛され、微笑みの対象となります。

   与太の奥さんはしっかり者なので、まわりの者は尻に敷かれる与太を冷やかします。ですが、本人らも与太夫婦の円満さに嫉妬するのです。自分たちも尻に敷かれることを口には出さないだけのことです。与太は野菜を台車に積んで商売に出かけます。しかし、売れなくて途方にくれます。そこに通りかかる者が荷車を押したり、掛け声のかけ方を教えます。そのお陰で野菜はすっかり売り切れとなります。与太は人をみて値段を釣りあげたり、下げたりはできません。言われたことを真っ正直にするのです。それを見かねた誰かが必ず与太をかばい、助けるのです。人情噺の落語にこの与太がいないと、気の抜けたビールのようになります。落語の与太は「フーテンの寅さん」のようです。

投稿日2009年09月15日 16:39


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