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記事掲載者:由井 堅史さん

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竹やぶで格闘!遭難注意!?

このコーナーでは今までに10種類をこえるひるぜんの山菜を紹介してきましたがそれらはワラビやゼンマイ、タラの芽をはじめとして少量なら道端などでも簡単に採ることができるものがほとんどでした。

 しかし今回の山菜は少しばかり違います。それを採るためにはちょっとした登山の心構えがいりますし、なにより体力が必要です。そんな気力と体力を兼ね備えた者だけが採ることのできる山菜「ネマガリタケ」を今回は紹介します。

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ネマガリタケは長さが20~30センチ、太さが直径2センチくらいの小さなタケノコです。チシマザサとも言い、どちらが正式な名称なのか私にもよくわかりません。いろんな本を見ても両方の名前が書いてありますし、ここではどちらでもいいことにしましょう。竹と笹の区別もややこしそうですし…

ひるぜんではこの小さなタケノコは「ヘイトコ」と呼ばれています。一部の地域でスズノコと言ったりもしますが、共通の呼び名はヘイトコです。このヘイトコは東北地方に多く見られるそうですが、ここ中国地方でも標高が700M~1,000Mくらいの高地に所々に群生をつくって広がっています。

この竹は親指くらいの太さで、ネマガリタケという名のとおり根元の方が曲がっており、地面からはい上がるような格好で生えています。竹本体の高さは2~3Mにもなり、これが前が見えないほど密集して生えているのです。その竹やぶをかき分けて進み、地面から20~30センチくらいに伸びたヘイトコを根元から折って採ります。ボキンといういい音がして気持ちよく折れます。

採るのは楽しいのですがタケやぶの中を歩いていくのは、かなりの重労働です。竹の幹が硬くて頑丈な上に密生しているのでなかなか前に進めません。採ったヘイトコを手に持っていたりするとよけいに動きがとれず、足を一歩進めるのにも苦労します。ラッシュアワーの大混雑した電車の中にでもいる感じですかね。

おまけにこのヘイトコは場所と時期が当れば結構たくさん採れることがあります。それをさげたり担いだりして歩くと相当な重労働です。他の山菜ならいったんそこらへ置いておいて、帰りに持って帰るということもできるのですが、ヘイトコはそうはいきません。ヘイトコを置いといて再びそこへ帰ろうなどと思っても、竹やぶの中で迷ってしまいそんなことはとうていムリです。採ったものは背負うなどしてずっと持ち運ぶしかないのです。

そしてこのヘイトコのやぶは結構広くて、その中に入ると東西南北がわからなくなってしまいます。入ったばかりの時はだいたいの方向の見当はつけているのですが、やぶの中を歩き回っているうちにまったく方向がわからなくなってしまいます。回りは背丈が3Mはあろうかという竹に囲まれていますので、景色はまったく見えません。そのせいで毎年のように「遭難者」が出ます。最近は携帯電話もありますが、ヘイトコの採れるような所はまず圏外ですので十分ご注意を。

このように遭難の危険をおかしてまでもみんなが採りたいヘイトコがとてもおいしいのは言うまでもありません。採って帰ったヘイトコはすぐに皮付きのままゆでます。アクが少ないので真水でOKです。適当な時間ゆでたらザル等に揚げて皮をむきます。そのアツアツのところにマヨネーズをつけて食べるとこれがなんともうまい!歯ごたえのあるホワイトアスパラガスという感じで、小さな子供達にもこれは大好評です。

ゆで上がったその他のものもここで皮をむいておき、冷水に漬けて保存します。これは煮ても炒めても揚げても、何にしてもおいしいです。でもどんな料理法にするにしても、薄味がおすすめですね。このヘイトコの類はよく中国産が土産物などで売られていますが、どれも変な濃い味付けがされていてあまりおいしくないので、天然物が手に入ったらぜひ薄味で、自然そのものの味を楽しんでいただきたいと思います。

ヘイトコは今も人気の山菜ですが、昔からひるぜんの人達の大切な食料でもありました。人々は田植えが済んだらこぞって山へヘイトコを採りに行きました。とはいえ娯楽で採りに行くのではなく、食料の確保のために行くのであり、また車のひとつもあるわけでもないので山のふもとまで歩いていくだけでも大変です。それだけでも半日はかかったでしょう。

そこから1,000M近くにまでも登りヘイトコを採り、各自が背負えるだけの量を担いで家まで帰ったのです。一日ではムリで途中で小屋などに泊ったりもしたでしょう。頑強な若者のいる家などはたくさん採って帰ることができたでしょうし、それがその家の自慢であったことでしょう。そうして採ったヘイトコは塩漬けにして保存し、一年中大切に食べました。祭りの日や正月には「ごちそう」として食卓にのぼったそうです。

そんな先人の苦労を思いながらみなさんもヘイトコ採りに行って、竹やぶと格闘してみてはいかがでしょうか?その際には十分な装備(特に足元は重要)と、やる気をお忘れなく。また、お茶などの水分もきちんと用意しておきましょう。そしてくれぐれも注意して遭難しないようにして下さい。ムリな計画や単独行動はダメですよ。

写真は先日採ったヘイトコの一部です。このように太いものの方が見栄えもして喜ばれますが、細いものもやわらかくておいしいので私は好きですが。

 

投稿日2008年05月24日 12:55


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