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(先回の続き) 皆さんは市場には採れたての新鮮なものばかりが並んでいると思うでしょうが、実はそうばかりとは限りません。中には「捨てるよりはいいかなと思って出したんでしょ?」としか思えないようなヒドイ野菜などもありますし、また夏場の野菜などは暑さのせいで、セリを始める前から腐れかけてしまっているものもあります。もっとひどいものはもう、本当にほとんど腐ってしまっているものだってあるのです。しかしこれらも「荷受」(売ります。ということで市場が品物を預かること)をした以上、「売ってしまわなくてはならない」という法の下、仲買人がムリヤリ買わされてしまうのです。せり売りをしていてそのような品物の順番なると、もちろん買い手がないのでせりは止まってしまいます。そうすると仲買人たちはせり場からみんな逃げて行きます。そうです、そんな変な物を押し付けられては困るからです。でもせり人は仕事上誰かに押し付けなくてはならないので、あわてて逃げた奴や気の弱そうな奴(あと、押し付けた時のリアクションが面白い奴!)にその品物を押し付けます。もちろんそんな物は売り物にはならないため値段はただ同然ですが、市場には「ゴミは置いていってはダメ!」という厳しいおきてがあるため、買わされた仲買人はしぶしぶトラックに積みこんで持って帰らなくてはなりません
野菜や果物が取り扱いされているのは「青果市場」です。 青果市場にはさまざまな野菜や果物がありますが、それらは大きく分けて2つに分類されます。それは「地物」と「転送物(てんそうもの)」です。 地物というのは、地元で生産された物、すなわち市場の近郊から直接農家が市場へ持ち込んだ作物や、当該地区の農協等が市場へ出荷した物を指します。今流行の「地産地消」の対象とされるのがこれらの地物の野菜や果物です。 それに対して転送物は、県外等の離れた産地から運ばれてくるものをいいます。例えば長野産のキャベツやレタス、徳島のニンジン、高知のピーマンやナスなど、いわゆる「産地」といわれる所から入荷する作物です。フィリピンのバナナやアメリカのオレンジなどの輸入品も一種の転送物です。また転送物は市場や会社を回ってくるので「まわりもの」とも言われます。今の世の中交通網が発達していますので、全国・全世界から様々な野菜や果物たちが「転送物」として入荷してきます。私が今までに見た珍しいところでは、アメリカのりんごやオーストラリアの柿、タイのアスパラ、韓国のみかんなどがあります。日持ちのする玉ねぎなどは中国産やアメリカ産も入ってきていますので、店頭ではあまり見かけなくてもレストランや惣菜などには結構使われているのではないかと思います。 「りんごは何にも言わないけれど…」という歌が昔ありましたが、りんごに限らず果物や野菜が喋ったという話は聞いたことがありません。でもこれがもしも喋ったら、外国語や方言が交じり合って市場や店頭はものすごくにぎやかだと思います。市場の隅っこで古くなってしわがよったオレンジなんか結構リュウチョウな日本語を喋ったりして。隣の熊本みかんに「日本語がうまかねー」などとほめられたら「ハイ、ニッポンナガイデスカラ・・・」なんてね。また、松茸にしても喋らないから助かっている料亭なんかも多いと思いますよ…
よく農家を持ち上げて「一国一城の主」だとかいいます。確かに農家は自営業でありお百姓さんは「社長」でもあるわけですが、そのぶん自己責任も大きく、収入も不安定です。良い作物ができて高く売れればいいのですが、そうでない場合には困りものです。そして更に農家にとっての大問題は、がんばっていいものを作ったからといって必ずしも儲かるとは言えないという点にあります。作物がたくさん出来て、供給が需要を大きく上回ってしまうと相場が崩れてしまい、いわゆる「豊作貧乏」という最悪の状況になります。せっかく手塩にかけて育てた野菜たちを捨てたり、畑に埋めたりしなくてはならなくなり、農家にとっては本当に情けないことです。考えてみれば農家というものは基本的に儲からない仕組みになっていると思います。